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「ふぐ」のうんちく

とらふぐの消費量1位は大阪!古くからふぐ料理が愛される理由とは

– とらふぐの消費量1位は大阪!古くからふぐ料理が愛される理由とは –

刺身に鍋、唐揚げやひれ酒…どんな料理にしても美味しいごちそうといえば、ふぐ!寒い季節にふぐ尽くしのコースなど、たまらないですよね。ふぐの中でももっとも高級とされるのが「とらふぐ」ですが、このとらふぐの消費量が全国で最も多いのはどこか、ご存知ですか?それは食い倒れの街、大阪なんです!なぜ大阪がとらふぐ消費量日本一なのでしょうか?


ふぐが日本一食べられている街、大阪

ふぐの中でも高級魚とされるふぐの王様、「とらふぐ」。そのとらふぐが、全国47都道府県のなかで最も食べられているのが大阪府です。実は全国での消費量の約6割を大阪が占めているともいわれ、大阪でのふぐの人気は圧倒的なんです。

ふぐがとれる場所といえば、山口県の下関が有名ですよね。下関をはじめ、ふぐの産地は西日本が中心。西日本ではふぐが多く出回るため、大阪では古くから、ふぐが安く食べられる魚として庶民に親しまれてきました。
このことが、現在も大阪がとらふぐの消費量1位となっている理由ではないかといわれています。安くてうまいものを愛する商人の街、大阪らしい理由ですね。養殖が多くなってきた現在も、養殖ふぐの生産の多くは西日本が占めるそうです。
実際、寒い季節の鍋といえば、大阪ですぐに候補にあがるのがふぐ鍋。関東では少し敷居の高い感じがするふぐ鍋ですが、大阪では割と一般的に食べられています。
ちなみに、ふぐ鍋を意味する「てっちり」や、ふぐの刺身を意味する「てっさ」は関西が発祥の呼び名。関東ではあまりなじみがないかもしれませんね。じつはこれ、駄洒落から生まれた言葉だそうです。
かつて、ふぐの毒に当たった場合に命の危険があることから、「たま(弾)に当たる」とかけ、ふぐを「鉄砲」と呼んだそう。「鉄砲のちり鍋」で「てっちり」、「鉄砲の刺身」で「てっさ」という言葉が生まれたといいます。なんとも関西らしい発想ですね。このようなエピソードも、大阪をはじめ関西でふぐ料理が愛されてきた証拠だと言えそうです。
人間がふぐを食べてきた歴史は古く、古くは縄文時代の遺跡からふぐの骨が発見されていることから、当時からふぐが食べられていたと考えられているそう。全国統一を果たした豊臣秀吉は、武士がふぐの毒に当たって亡くなってしまうのを防ごうと、ふぐ禁止令を出したといいます。
江戸時代に入ってもふぐ食は禁止されることが多かったそうですが、明治時代になって解禁。それまでは、「鉄砲」という隠語を使って密かにふぐを食べる人も少なくなかったのではないかと考えられています。


大阪の街にはふぐ料理店がたくさん!

とらふぐの消費量が全国1位の大阪では、梅田や心斎橋、阿倍野といった繁華街を少し歩けば、ふぐ料理が食べられるお店をたくさん見つけることができます。中には大きなふぐの看板が目を引くお店も。また、旬の季節ともなればランチで天ぷらや雑炊などのふぐ料理が食べられるお店も少なくないんです。さすがは食い倒れの街、大阪!
大阪以外の地域では、ふぐは高級というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、大阪ではふぐ料理をつまみにお酒を飲むといった居酒屋感覚のお店も多いとか。そういったお店なら、出張や旅行のついでに気軽に入ってみることができますね。
とりあえず一度ふぐ料理を味わってみたいという人は、独特の食感が楽しめるてっさ(ふぐ刺し)から試してみてはいかがでしょうか。もみじおろしやねぎなどの薬味をたっぷりのせて、ポン酢をつけて味わえば、繊細なふぐの風味を楽しむことができます。
本格的にふぐ料理を楽しみたいという人は、もちろんふぐのフルコースを。てっさ(ふぐ刺し)に始まり、ふぐのひれ酒を飲みながら、ふぐの唐揚げを食べ、てっちり(ふぐ鍋)の最後は雑炊でしめる…。ふぐの白子やてっぴ(湯引き)といった珍味系も外せません。寒い冬に身も心も温まるこんなふぐ尽くし、たまりませんね。
てっちりは昆布だしでふぐや野菜を煮て、ポン酢でいただきます。ふぐからは良いだしがとれ、弾力のあるふぐの身の歯ごたえと淡白な味わいが楽しめる料理です。ひれ酒は、ふぐのひれを軽くあぶり、日本酒に入れて飲みます。すだちなどの柑橘をしぼるとまた違った味わいに。少し目先を変えて食べたいときは、ふぐの白子グラタンといった洋風なメニューもありますよ。
ふぐは料理の仕方によって全く異なる味わいを楽しめるのが魅力の一つ。さまざまなふぐ料理をぜひ、味わってみてください。


「粉もの」だけじゃない、大阪の庶民の味

大阪といえば、たこ焼きやお好み焼き、うどんなど、いわゆる「粉もの」のイメージが強いかもしれませんが、このように「ふぐ料理」も大阪の大きな食文化のひとつ。

こってりした粉もの料理とはがらりとイメージの違う、あっさりと上品な味わいは、どんな人も美味しく食べられるはず。
また、リーズナブルなお店から接待に使える高級店まで、どこに行ってもふぐ料理のお店がたくさんあるのは大阪ならでは。関東ではほとんど見かけることはありませんが、普通のスーパーでもふぐが売られているんです。庶民の味として古くから親しまれてきた冬の味覚を、大阪を訪れた際にはぜひ味わいたいですね。
ちなみにご存知の通り、ふぐにはテトロドトキシンとよばれる猛毒があり、口にすると命にかかわるため、都道府県ごとに調理資格が定められています。この調理資格を持つ人が全国で一番多いのも大阪府なんだとか。大阪でいかにふぐがたくさん食べられているかわかります。
さらに、大阪の岸和田市には「ふぐ博物館」があり、ふぐの標本や資料などが展示されているそう。ふぐ料理店の店主が私財を投じて開設したそうで、ふぐへの強い思いがうかがえますね。
とらふぐの消費量1位ということを始め、歴史的な背景から博物館まで、切っても切れない大阪とふぐの関係。今度大阪に出かけるときには、「ふぐ料理を食べること」を予定に加えてみてはいかがでしょうか。

とらふぐ消費量1位の大阪でふぐ料理を堪能!

とらふぐの消費量で全国1位の大阪。とらふぐは多く出回る安い魚として古くから庶民に浸透し、大阪の食文化を築いてきました。現在でも大阪の街にはふぐ料理店がたくさん存在し、気軽に入れる店もたくさん。
古くから大阪人に親しまれ、庶民の食文化として根付いてきたふぐ料理。大阪を訪れた際にはぜひ、ふぐ料理を堪能してみてくださいね。